読者です 読者をやめる 読者になる 読者になる

チョコレート革命は起こらない

バレンタインデーはチョコレート屋さんの策略らしい。女性が好きな男性にチョコレートを贈るのは日本だけなんだとか。そんなことはどうでもいい。私は、バレンタインが大好きだ。1月になると、夏休みやクリスマスが近づくのと同じくらい心が弾む。頭の中ではチョコレイト・ディスコバレンタイン・キッスが交互に流れる。


バレンタイン当日を何度もイメトレする。待ち合わせ場所に着く。恋人が私の右手にさがる紙袋をちらりと見る。この時点ではまだ渡さない。しばらく手をつないで歩く。ふたりきりになる(公園だったり、ネカフェだったり)。恋人にチョコを渡す。その場で開ける。恋人はたぶん嬉しそう(であってほしい)。まずは恋人が一口食べる。「うまっ!」私にも一口くれる。暖かいお茶をふふうふうしながら飲む。残りは恋人が持ち帰って、食べるときにLINEで報告してくれる。


そんなに非現実的なイメトレではないと思うんだけど、1度もこのとおりになったことがない。元彼のときは3回バレンタインを迎えた。すべて手作り。1度目はブラウニー「なんで横の部分へこんでるの?」2度目はチョコサンドクッキー「このチョコわかった、明治のいちごチョコでしょ(100円)」3度目はトリュフ「思ったより美味しい(6粒入り、1つも私にくれなかった)(しかもホワイトデーのお返し無し)」どれも数ヶ月前からお菓子の練習したのに、全然報われなかったな。

今年は今の恋人との初めてのバレンタインデーだった。待ち合わせ場所に着く。恋人が私の右手にさがる紙袋をちらりと見る。この時点ではまだ渡さない。しばらく手をつないで歩く。ふたりきりになる。恋人にチョコを渡す。ここまではイメトレどおりだった。「あとで食べようね」そのままだらだらだらだら。あっという間に帰る10分前。「あっ!チョコ忘れてた!」急いで食べる。帰宅時間のことで頭がいっぱい。チョコの味なんて覚えていない。デパートで人に揉まれて何周もして、やっと選んだのに。かなしい。


私が男の子だったら、女の子にチョコもらったら嬉しすぎて体温が5度は上がるだろうな。許されるならその場で開けて写真撮りまくるし、相手の子と一緒に食べたいし、持ち帰ったら綺麗なテーブルクロスとピカピカに磨いたフォークと家の中で一番上等なお皿で食べる。

私が大好きなバレンタインデーは、私が大好きな人に毎年踏みにじられている。現世でたくさんチョコを買ってチョコレート屋さんに貢献して、来世はしあわせなバレンタインデーを迎えたい。