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合理的な微笑み

 この前、付き合って3度目の記念日を迎えた。同じ人を3年間も自分に縛り付けてるの、おそろしいなあ

 わたしが恋人とお付き合いを始めたのは大学1年生の冬だった。お酒なんて全然飲めなくて、手をつなぐ瞬間が何よりも緊張した。今では恋人とウイスキーロックをあおり合ったり、呼吸をするように手をつないだりする。

 わたしは昔のわたしより恋人に微笑みかけられなくなってしまった。初対面の人やレジのバイト中によく「笑顔が素敵ですね」なんて言われるけど、わたしの笑顔の原理は赤ちゃんの天使の微笑みと同じで(わたしはそんな尊いものじゃないけど)、アタッチメントほしさに無意識で微笑んでる赤ちゃんみたいに、自己防衛の一環として無意識に微笑んでるだけ。だから仲良くなるとどんどん微笑みは減るし、家族とは目が合ってもニコリともしない。

 付き合いたての頃、なんでわたしと付き合ったのか聞いてみたら、恋人は「年下の女の子がニコニコしながら自分についてきてくれたら、嬉しいでしょ」って言ってた。もう今のわたしは恋人にニコニコできない。かなしい。そのくせ別れ際はさみしくて泣くし。

 

 たぶん外デートしかできないのも関係している気がする。デート用に着心地の悪い服を着て、足の痛くなる靴を履いて、皮膚呼吸を妨げる化粧をして、慣れない場所で慣れないコーヒーをすすったりするのが確実にわたしから微笑む気力を奪っている。同棲したら、そういうエネルギーを全部かきあつめて、微笑むことができるんじゃないかなあ。

どちらかというともう1日たりとも歳をとりたくない

大学生のわたしと社会人の恋人。恋人が働いている話をすると、相手(特に同年代の女の子)は大体興奮して「えー!!社会人の彼氏なんてすごい!!オトナ!!」とか言いながら目を輝かせる。初期の頃はその目から発せられるスポットライトを浴びるのが楽しくて仕方がなかったけど、今はあーはいはいという感じ。

あーはいはいになってしまったのは慣れもあるけど、大学生の女が社会人の男と付き合うことにどれだけデメリットが潜んでいるか気付いたから。

ひとつめ。わたしはもう講義をすべて履修し終えて、卒業論文を書けば卒業できる。週に一度はゼミに行かなくちゃだけど、週休6日状態だ。こんな休みがあるのは大学生の今だけだ。もしわたしに大学生の彼氏がいたら、平日テーマパークで遊んだり、新宿の人気カフェでパンケーキの写真撮ったり、旅行に行ったりしたい。もし彼氏がまだ講義あるなら学食で一緒にごはんを食べたい。

ふたつめ。上記の通りわたしは合法ニート状態だから、バイトの時以外は日がな一日のんびりしている。そんなわたしに恋人はメッセージを送ってくれる。内容は9割仕事のこと。

「今日仕事で失敗して上司に怒られた」このメッセージ、なんて返すのが正解?「そうなんだ、大変だったね」「失敗するときもあるよ」「また明日頑張れ」こういう返しは相手と同等またはそれ以上の立場にいる人が使って初めて慰めとしての効力をもつもので、合法ニートの年下女が使ったところで神経を逆なでするだけだと思う。わたしが恋人の立場だったらどれを言われてもたぶん腹立つ。遠距離恋愛のふたりを結ぶ貴重なツールであるラインも、なんだかめんどくさいなあと感じてしまう。

みっつめ。わたしは実家、恋人は社員寮(女子は立ち入り禁止)だからいちいち外出しなくちゃいけないのもわたしにとってはデメリットだ。大学生だったら毎回空き教室とか部室とかで良いのに。定期あれば交通費タダだし、雨風しのげるし、歩き回って疲れることもないし。わたしは慣れない場所に行くのがストレスに感じる。同じ外出でも、毎回違う場所に行くより慣れ親しんだ大学校舎の方が精神的に楽だ。ひとり暮らしのおうちデート、羨まし過ぎて何度夢に出てきたことか。


社会人と付き合うメリット・・・あまり思いつかない。たぶんアクセサリーとかブランドバッグとかオシャレなレストランとかにこだわる女の子は社会人と付き合った方がいい。新卒でも毎月20万もらってるからね。お金が大切なのは分かるけど、わたしは恋人のプレゼントに期待するほど若くないし、ふたりの将来を見据えるほど老してない。